今さら聞けない!イタリア国民投票について

イタリアの国民投票が12/4(現地)に終わって、結果は予想通り否決。レンツィさんの惨敗。イタリアは(欧州では唯一)上院と下院がほぼ同等の権力をもつから、もうねじれにねじれて法案が全然通らない!改革しようにも進捗が遅い!ということで、今回の国民投票では上院の権限を弱めて議決権をほぼ下院に集中させようというものだったのね。「決められない」政治をストップしようという、アイディア自体は結構良かったと思う。でも惨敗だったのは、レンツィさんがこれに自分の進退をかけちゃったからなんじゃないかしら。だから国民投票がレンツィさんの信任投票みたいな感じにすり替わっちゃって、本来の目的が達成できなかったわけ。

じゃ、ここからどうなるのかって話だけど、レンツィさんが辞めた後の暫定政権がひとまず組織されそうな感じ。早期解散選挙ってことになってもさすがに来年早々はないんじゃないかしら。だって、まずはいわゆるイタリクム(Italicum/2015年新選挙法)を改正することが既存政党にとっては何より大事だから。

ちなみにイタリクムとは、簡単に言うと第一政党が下院議席の54%をとれるっていう選挙制度のこと。イタリアではどの政党でも一党で過半数をとれない状況だから、これも法案通過などが難しくなる原因だったみたい。この状況を打破して民主党に有利になるためにイタリクムをつくったのだけど、実はこれが誤算だった。つくった当時はここまでポピュリズムの波がくるとは思ってなかったから、この選挙制度によって民主党議席の過半数をとれてハッピー!という見込みだったんだけど、今となっては"五つ星運動"(ポピュリズム政党)が大躍進してきたことで、なんなら五つ星運動がこの制度のおかげで過半数をとっちゃうんじゃないかっていう事態になってしまったという悲しい誤算。

さて、次の首相だけど、いまの経済・財務相のパドアンさんが有力みたいで、これはいいチョイス。パドアンさんはモンテパスキ銀行の資本増強計画についてアドバイザーやEUと話し合いを続けている関係者で状況が良く分かっている。モンテパスキ銀行がつぶれるかどうかって時に、やっぱり状況が分かってる人が首相についてくれる方がスムーズよね。

モンテパスキ銀行も、当初の50億ユーロの資本増強計画が頓挫しそうで、イタリア政府が公的資金の投入を検討しているみたい。最終的に昔のどっかの銀行みたいに買い叩かれて終了、ということにならないのかしらこれ。。でも買いたい人っているの?って疑問もあるのよね~。ドイツ銀行なら買いたい人いっぱいいそうだけど。