トランプ入国禁止令に、高裁もひとまずちょっと待った

揉めに揉めているトランプ大統領による入国禁止令だけど、米連邦控訴裁判所(サンフランシスコ高裁)は4日夜に、イスラム教徒が多数を占める中東・アフリカの7カ国の国民や難民の入国を一時禁止するドナルド・トランプの大統領令の一時差し止めを命じたワシントン州シアトル連邦地裁などの決定を不服として、取り消しを求めていたトランプ政権(米司法省)の訴えを却下したわ。

流れとしては:
1/27にトランプ大統領が、シリアとイラク、イラン、スーダンソマリア、イエメン、リビアの7カ国からの入国を90日間禁止する大統領令に署名。
→これを受けて、ワシントン州ミネソタ州が「州の経済や住民に損害を与える」として提訴。
ワシントン州シアトル連邦地裁などが訴えを認め、大統領令を差し止める仮処分を決定。
→トランプ政権(米司法省)は、シアトル連邦地裁の決定を不服として、米連邦控訴裁判所へ取り消しを求める。
→米連邦控訴裁判所は、米司法省の訴えを却下。
→ただし、ワシントン州ミネソタ州に対して5日深夜までにトランプ政権の訴えに対する反論を提出、司法省には6日夜までに入国禁止措置の論拠を説明する文書を提出することをそれぞれ命じる。
→ひとまずまだ審議中ということで大統領令の差し止めが続くことになるから、7カ国の国民や難民はアメリカに入国できる。
→米連邦控訴裁判所が、7日午後(日本時間8日午前)に口頭弁論を開くと伝えた。
控訴裁が地裁命令を直ちに取り消せば、7カ国出身者は再び入国できなくなる。また、控訴裁がシアトル地裁に対し差し止め命令の再審理を求めるケースも想定される。
→最終的には、最高裁までもつれこむか。


ってことね。
もちろんトランプ氏は徹底抗戦の構えよ。
7カ国出身者にとっては不透明な状況が続くこともあって、米国への入国を急ぐ動きも広がっているみたい。

 

一事が万事こんな調子だから、なんか大統領選後に盛り上がったポジティブセンチメントはやや後退の模様。
税制改革とかインフレ投資なんかについても、結局は今年後半から2018年に入ってからようやく合意に至るのでは?なんて言われていて後倒し感は否めないし。。。

 

とりあえず、7カ国に喧嘩を売ったし、中国にも喧嘩売ってるし。
色んな摩擦が出てきそうよね。気をつけないと!

 

 



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トランプ様の入国制限令とテック業界・司法の反発

イスラム圏7カ国から米国への入国を制限する、という世界中に混乱をもたらしている大統領令の一つについて、ワシントン州シアトル連邦地裁が大統領令の一時差し止めを命じたんだけど、それについてトランプ大統領がまたツイッターで反撃・批判しているわ↓

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(裁判官が我々の国を危険にさらすなんて信じられない。もし何か起こったら彼(ジェームズ・ロバート連邦地裁判事)と裁判所制度を責めるべきだ!ロバート地裁判事が潜在的なテロリストたちを我々の国に開放している。悪いやつらはとてもハッピーだろうね!的なことを言っている。)

おさらいするけど、そもそもの発端は、トランプ大統領が1/27に
「難民を120日間、シリアからの難民は無期限、イラン・イラクリビアソマリアスーダン・シリア・イエメン市民の入国は90日間禁止する」とした大統領令に署名したこと。

アマゾンCEOのジェフ・ベゾスをはじめとしたIT業界の各社からは明確にこの処置に反対する声があがってるわね。
Google, Apple, Facebook, Microsoft, Uberなどは共同で、この大統領令に反対する書簡を提出する予定らしく、ITメディアのRecodeが書簡のドラフトを公開している。
http://www.recode.net/2017/2/1/14480988/google-apple-facebook-joint-letter-opposing-trump-travel-ban


だいたい要約すると。。↓
アメリカはopportunity(機会)の国であり、移民によって強くなった国。
我々は、移民管理制度を近年の安全保障に沿わせ我々の国を安全に保つという、大統領が掲げた目標については共有している。

しかし、グローバル経済においては、常に世界中からベストで聡明な人材を惹きつけ続けることが重要。
また、我々は、DACA(児童期入国移民送還延期措置)の保護によりアメリカ国内にいる75万人の夢を見る子ども達の将来を明確なものにするというトランプ大統領が述べた目標を達成する方法を見つけるため、助ける準備は出来ている。

我々は何千人というアメリカ人および海外からの最も才能にあふれた人の両方を雇用しているが、両者がともに働くことで企業を成長させ全体として雇用を生みだしている。

アメリカのビジネスを機能させ、かつアメリカの価値観を反映する移民政策を実現させるためのリソースとして我々を使ってほしい。

 

ということね。


アメリカって移民の国。移民ありきで色んなビジネスがまわってんのよ!何やってんのよトランプ様!と思いつつ、一説には、IS掃討作戦の前に取り急ぎ指定7カ国からの人の流れをコントロールしている、って説もあるけど・・・

何も考えていないように見えて実は作戦のひとつなの・・・??

 

今後もまだ波乱はありそうで注目よ!
アメリカの混乱が続けばドルが落ちる・・・金利との相関性もなくなってきちゃってるわね。

 

 

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トランプ大統領令 - いままでに署名した14令

Trump's latest executive order、ということでトランプ大統領がこれまでに署名した14の大統領令をまとめてみたわ。
ま、どれもこれも保守色が強くって、すでに米国各地でデモやら反対運動が起こっているわ!特にアメリカの各空港では入国規制を巡っての激しい抗議運動が起こってる。

トランプ大統領はどこへ向かおうとしているのかしらね・・・

14. Bans citizens of 7 countries and Suspends the US refugee program
(テロリスクの高い7ヶ国の国民のアメリカへの入国を90日間禁止、および難民の受け入れを120日間凍結)

13. Launch a “great rebuilding of the Armed Forces”
(米軍の見直し。新しい船、飛行機、武器、核保有等の見直し。60日以内に国防相マティス氏は2019年までの改善案を提出。)

12. Border wall.
(メキシコ国境の壁建設)

11. Deportations and sanctuary cities.
(移民規制)

10. Review manufacturing regulations.
(製造業めぐる規制緩和

9. American steel in pipelines.
(パイプライン建設のアメリカ製使用)

8. Speeding up environmental reviews for all priority infrastructure.
(インフラプロジェクトの環境調査期間短縮)

6 + 7. Speeding approval of Dakota Access and Keystone Oil Pipelines.
(キーストーンXLとダコタアクセスのパイプライン建設推進)

5. Federal hiring freeze.
(軍除く政府職員の雇用凍結)

4. Withdraw from TPP.
TPPからの離脱)

3. Abortion.
(中絶/堕胎に携わる団体への援助禁止)

2. Regulation freeze.
(現在プロセス中で承認される前の規制を全て凍結)

1. ACA rollback.
オバマケアの見直し)







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国境税調整とかマジ複雑すぎ、とダメ出しするトランプ様。で、ドル下落

米ドルが下がってるわね。

その原因と言われていたのがこちらの記事みたいよ↓

Donald Trump Warns on House Republican Tax Plan
http://www.wsj.com/articles/trump-warns-on-house-republican-tax-plan-1484613766


ま、簡単にいっちゃうと、下院の共和党が税制改革の目玉としてすすめていた「国境税調整(Border Adjustment Tax)」をトランプ様が一蹴したって話よ。

 

んでもって、この記事内では、WSJのインタビューでトランプ様が中国が自国通貨を保有しているせいで、米ドルはすでに強すぎるなんて発言をしたってことも書かれてるのね。

 

一部の為替アナリストいわく、この記事が本当ならドル円110円切るよねー、らしい。どうなのかしら。

 

しかし最近やたら「国境税調整」の話が出てきてるけど、これってそもそも出てきたのは去年の初夏頃らしいわ。
下院の共和党による税制改革Better Way改革の一環らしい。

 

で、何これ?って話なんだけど、こちらのニュースにまとまっていたわ。

http://www.zerohedge.com/news/2016-12-20/why-trumps-border-tax-proposal-most-important-thing-nobody-talking-about

 

いわく、
- 簡単に言えばこの提案は、法人の所得税率で米国の輸入に課税するが、輸出により生じた収益については免税とする、というものである。もし制定されれば、この計画は米ドルにとって非常に強気になるだろう。さらに、世界の他諸国との米国の貿易関係に変容的な影響を与えるだろう。
- 大まかに言えば、「国境税調整」は、米ドルの15%の一括切り下げ(one-off devaluation)と同等であろう。企業は新しく20%の法人税率を支払わなければならないため、輸入に関しては20%高くなる。一方、輸出については12%ほど安くなる、なぜなら、100ドルの輸出から得られる収入33ドルごとに(S&Pの33%粗利益率を使用)、本来なら課されるべき12%(33ドルの収入 x 現在の35%の税金)の税金コストが削減されるからだ。輸出入価格に与える平均的なインパクトを除くと、米ドルの15%下落と同等である。国境税調整は、米国の貿易収支にとって非常にプラスになるだろう。ドルの計算と同様に、国境税の調整は、全面的な輸入関税20%と輸出補助金12%に相当する。とすると、推定では貿易赤字が2%低下(すなわち4,000億米ドル以上に相当する額)するか、米国の貿易赤字がほぼ完全に解消される。言い換えれば、「国境税の提案」が通過すれば、それはインフレを急上昇させるだけでなく、米国の貿易赤字を排除しながら 、15%の米ドル切り下げと同等の効力となる。

 

 

 

・・・難しくてよう分からん・・・

 

が、自分なりに理解につとめた結果、要するに「国境税調整」ってのは、

 

アメリカに入ってくる輸入品については新しく20%の関税をかけて、アメリカの企業が輸出して得た利益については税金をかけない

 

っていうもので、かつ

 

「国境税調整」が適用されるようになると、米ドルが上昇する(米ドルにとって強気な計画)らしい

 

 

 

あ、だからトランプ様が否定したって記事が出てドルが下落してるんだわねー、と勝手に納得してみたけど。

 

 

ちなみにトランプ様は、この国境税調整ってまじで複雑すぎる、とダメ出し。

「大きな国境税(big border tax)」(生産を米国外にしているけど米国内で販売する企業に対して35%の税金を課すというもの)っていう案を逆に提案しているようよ。

期待ハズレなトランプ様スピーチ

さて、マーケットの注目を集めていたトランプ様のスピーチだったけど、超期待外れだったわ。

 

12/25の記者会見を延期してから、大統領選後ではじめてとなる記者会見だったんけど、まず、場所がね!!
NYのトランプタワーで会見www
いやー宣伝するわよねえ。まだ一般人だけどもうすぐ大統領になるんだから・・・すでに利益相反感が出てるんじゃないのこれ。

 

で、肝心の内容は、多岐に渡ったもののうっすーーーいものだったわ。

 

直前に流れたブレーキングニュース(ロシアがトランプ氏の不名誉な情報を保有しているという話)の否定や、ロシア情報機関がサイバー攻撃で米大統領選に干渉したとされる問題について初めて「ロシアが行ったと思う」と認めちゃったり、メキシコ国境の壁建設についてはメキシコがひとまず支払いをしなくても良いと思われる発言をしたり、米自動車大手フォードなどがメキシコ工場建設計画の撤回や米国内工場増強を発表したことに「感謝する」と述べて、「私は最も多くの雇用を生み出す大統領になる」と強調したり、製薬会社が政府に多額の費用を負担させることで「殺人を免れている」なんて言って改革を表明したり、なんかバラバラね。

自身の事業についても、ひとまず息子に任せる的な流れでごまかそうとしてるけど、いやそれじゃ足りないんじゃないの?っていうのが大半の意見みたい。

あと、8年後に任期を終えたら事業に戻るぞ的な発言をしてるんだけど("And I hope at the end of eight years I'll come back and say 'oh you did a good job.")、えっ4年間じゃ飽き足らず8年間やる気だったの!?とびっくりしちゃったのは私だけかしら。

 

減税とかインフラ計画とか、どうなったんじゃーーーって思うけど。

ま、1/20に就任してからじゃないと何も予想ができないってことね。

 

MAGA(Make America Great Again)お願いしまっす!

 

US新旧大統領ガチンコスピーチ対決!? オバマスピーチのすぐ後にスピーチをかぶせてくるトランプ様

アメリカでは新旧大統領によるスピーチが現地時間1/10と1/11に行われる予定よ。
まず、オバマ大統領のFarewell Address(さよならスピーチ)が、故郷シカゴにて1/10に行われる予定(8PM CST/9PM EST)。うん、お疲れ様オバマ大統領。

で、これにかぶせてきたのが新大統領になるトランプ様よwww
トランプ様のスピーチは1/11(11AM EST)にNYで行われる予定。

 

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そもそも、トランプ様は去年の12/5に自身のビジネスから手を引くかとか資産売却について記者会見を開く予定だったのよ。それを3日前に延期するって発表して以来、Twitterでの一方的な情報発信しかしてこなかったわけ。

 

さて、どうしたもんかと思ってたらここにきて、オバマ大統領スピーチのすぐ後にかぶせてくるっていうね笑
もうさすがとしか言いようのないアクションよ。さすがトランプ様。

 

スピーチでトランプ様が何を話すか?全く分からないわ!
一応Twitterでは”general news conference”って言ってるから一般的な内容になる?のかしら。ま、一部の米メディアは、大統領に就任することでの利益相反について説明するんじゃないかって言ってるわ。あとは、オバマケアだったり、トラ様政権の面々についてだったり、義理の息子クシュナーさんが何をするのかとかとか、記者から質問が出てきてQ&Aみたいになるかもね。

 

ま、大統領就任前だし(1/20 就任)、ネガティブなことは言わないとは思うけど・・・何をしでかすか分からない。そこがトランプ様の面白いところよ!

って、無責任には言えないわね。頼むわトランプ様!

 

国民投票アゲイン?!イタリアで労働法につき・・・

イタリアが再びヤバイ状況よ。今週は2つの注目イベントがあるんだけど、まずはイタリアの憲法裁判所が1月11日(水)に、現行の労働法(Jobs Act)について国民投票をするか否かの判断をするの。もう一つは、1月13日(金)に格付け会社DBRSが、イタリアの格付けに関して判断を発表するって言われてるわ。

 

え?!また国民投票なの?!って思うわよねー。日本の政治もヤバイと思うけど、イタリアの政治は更にヤバイんじゃないかって思ってきたわ。

 

なんかね、ちょい昔2015年秋ぐらいだったかな、レンツィ元首相ががんばって労働改革をしたわけよ。それが、「Jobs Act」って呼ばれるもの。今回の争点。大企業に優しい労働法にして経済活動を活発化させるのが狙いだったようよ。で、メインの改革としては、大企業に対して、社員をクビにする際の規制を緩やかにする&正規雇用社員を雇ったら一時的に税控除が可能、っていうポイントだったみたい。

 

イタリアの労働市場改革はレンツィ元政権の重要な任務だったのよ。でも、労働組合は従業員が不安定な契約に陥る可能性があるとか主張してこのJobs Actを廃止しろーーって叫んでるわけ。いま、そんなことやってる場合?って思うけど。

 

そんなこんなで、このJobs Actについて国民投票にかけるか、ってのをいまイタリア憲法裁判所が審議してて、その判断が1/11に出るらしいのよ。

 

いまやイタリア大手企業の銀行やら航空会社やらが、何千人もの雇用削減を発表してるし、金融セクターはボロボロだし。これで労働法がまた変わりますとか言ったら混乱を極めるだけよね。ちなみにイタリアの若者失業率は39%なんだって!

 

で、イタリアの格付けなんだけど、いまやDBRSっていう格付け会社だけがイタリアを「A-」にしてるんだけど(他は、Moody’s Baa2、S&P BBB-、Fitch BBB+)、1/13にDBRSがその格付けに関する判断につき発表するらしいのね。もしDBRSまで格下げしちゃったら・・・更にイタリア国債とか下落しちゃうかもね・・・

 

ということで、今週はちょっとヨーロッパ怖いなあと思ってみてるところ。