いよいよモンテパスキに公的資金投入!?EU規則とか解釈よく分かんないのよ!

モンテパスキが、民間投資家からの資金調達に失敗して、「予防的」資本増強のため政府に支援を求めると発表したわ。
前に投稿したけど、イタリア政府はモンテパスキ含むイタリアの脆弱銀行のために最高200億ユーロを注入する準備を整えてるから、欧州委員会からGOサインが出たら資本援助をはじめる予定っぽい。

 

ここからどうするかって?ニュースで言われてるのはざっとこんな感じみたいよ。

 

1) 欧州委員会が今回のケースで、イタリア政府の「予防的」資本増強がモンテパスキにも適用されるのか判断する

2) 欧州委員会から資本入れてOK!といわれたら、じゃあいくらパスキに資本注入するのか、損失負担対象はどうするのか、とか詳細をイタリア財務省が決定

3) イタリア政府はパスキの国有化は「一時的措置」としているみたいなので、財務省は買い手を捜し始める予定

 

そんで、パスキが12/21にした説明によると、パスキの流動性はなんとあと4ヶ月で底をつく可能性があるとのこと!

 

パスキはECBの要求に応じるために、再建計画の柱である277億ユーロの不良債権処理をすすめてるんだけど、新しい資金がなければムリムリムリーって言ってるわけよ。

モンテパスキは約4万人の個人が劣後債を保有しているんだけど、昔イタリアはすでに地方銀行の破綻処理で多くの個人投資家を犠牲にして自殺者を出したっていう悲しい過去があるの。今回はその悲劇を避けるために(多くの個人が株式への強制転換で損失を被るのを避けるために)、イタリア政府は小口の投資家のみが劣後債を同等の価値のシニア債と交換できるようにする考えを示してるわ。

 

EU規則のもとでは、厳しく適用した場合に、こうした投資家保護は金融システムに深刻な悪影響を及ぼす場合にのみ認められるものなの。そこで政府は保護の対象を個人の小さな投資家に限定することで欧州委員会の理解を得ようとしてるみたい。

 

 

あ、ちなみに、そもそも公的資金の注入がOKなのか、イタリア政府による「予防的」資本増強がOKなのか、についてなんで欧州委員会の判断を待たなきゃならんの?ってところだけど、これには「Bank Recovery and Resolution Directive(BRRD:銀行再建・破綻処理指令)」ってのが関係しているのね。

 

こっから専門家じゃないから素人調査ってことで話半分で聞いてほしいんだけど、

 

BRRDってのは、もともと2012年に EU 委員会が考えた破綻処理に関する指令案で、2015/1に発効した法律なのね。
で、これが出来た背景っていうのがご存知リーマンショックからの金融危機で、金融機関に対して公的資金が大量に投下されたことに端を発してるわけ。なんで銀行守るために国民の血税を使うんじゃボケーって感じで超批判が出た。
だから、じゃあ金融機関がヤバくなったら公的資金で守るってのがお約束なんじゃなくて、銀行の債権者とかにまず損失を負担してもらいましょーや、てのが「ベイルイン」の発想ね。(ちなみにBRRDが2015/1発効で、ベイルインは2016/1/1から施行)

 

で、BRRDでは公的資金の投入を完全に排除しているわけではなくて、例えば第57条では公的資本の注入が認められているし、第58条では一時的であれば国有化も認めてるのね。ただし、ベイルインの実施を要件にしてるってとこがポイント。

ベイルインってのが基本だけど、特別な場合には(in extraordinary circumstances)公的資金の注入を含む他の資金を用いることができる、ってのが規定されてるの。つまり、ベイルイン→公的資金破たん処理っていう順で負担がなされるって考え方。

 

あとは、EUの規則の中で「見込み損失も含めすでに発覚した損失を埋めることに資本を充ててはならない」という条件もあるんだけど、これを正確に当てはめると、パスキの場合は、欲しい資本の大部分はEU当局が積み増しを要請している不良債権の引当金に充てるためのものだから、明らかに”すでに発覚した損失”になるんじゃないかってことになるわけ。そんなわけで、イタリア政府は、「いや違うよこれはあくまで「予防的な」措置だよ」ってことを強調してるんだよね。

 

ということで、そもそも公的資金を投入していいのか、公的資金を投入する「特別な場合」なのか、そしてこれが「予防的」措置にあたるのか、っていうところあたりについて規則の解釈も含めて欧州委員会の最終判断待ちってところがいまの状態なんだと思うわ!

(っていうかちゃんと規則を理解してる人が少ないのかニュースも海外・国内含めてあやふやね・・・誰か順を追ってちゃんと教えてちょーだい!)