悲報 - モンテパスキの救済計画延長要請にECBがNO

悲報 - 「イタリア大手銀行、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテパスキ)が、12/7に50億ユーロの増資計画を完了するために、完了期限を年末から来年1月20日に延期すること(時間的猶予)をECBに求めたが、12/9にECBが時間延長を却下したと報道された。」

モンテパスキはイタリア最古&イタリア第三位の銀行で、瀕死状態の銀行の一つ。

そもそもの発端はこういうこと↓

- 2016/7/29に、「モンテパスキが最大50億ユーロの増資を含む再建案を発表」。

7/29同日に欧州銀行監督局が、EU加盟国の大手51の銀行を対象にしたストレス・テストの結果を発表するんだけど、モンテパスキは明らかに不合格のレッテルを貼られてしまうのが分かってたから、その前に駆け込みダッシュで再建案を発表したのね。再建案の内容だけど、まず92億ユーロの不良債権証券化して、イタリアの銀行や保険会社が参加した民間投資ファンドが一部を引き受け、残りは既存株主などに売る。そのあとで、再建策のアドバイザーになってた米JPモルガン・チェースと伊メディオバンカなどを引受先に最大50億ユーロの増資を実施する、ってことだったみたい。

 

で、今回はイタリア政府がECBに対して「すみません、この救済計画にはもう少し時間が必要なので、締め切りを延長してください」ってお願いしたけど、ECBから「これ以上延長しても大して意味ないっしょ、悪あがきはやめなはれ」的な感じで却下されたってわけね。イタリア政府としては、12/4の国民投票で否決→レンツィ首相が辞任で大混乱だし、もう踏んだり蹴ったりよ。

 

あと、カタールが10億ユーロくらい投資してくれるって話もあったけど、結局この混乱を見て嫌になっちゃったみたいで、その計画もほぼ頓挫したみたい。


そもそも、イタリアの銀行は約3600億ユーロの不良債権を抱えるって言われてるけど、これはEUの銀行が抱えている全不良債権の45%、イタリアGDPの25%に相当するのね。ヤバイよね、イタリア。その中でも、モンテパスキは筋金入りの瀕死銀行として注目されていて、今までにすでに二回も公的資金による救済を受けているのに、それでもやっぱり回復困難な状況。モンテパスキの不良債権は2009年の約150億ユーロから、今では約552億ユーロにまで膨れ上がっていて、不良債権比率は41%とイタリアの銀行のなかでは一番高いの。

株価もずーーーっと下がっていて、2007年5月に8804.08のピークをつけてから、いまや19.50よ。なんと99.8%の下落率!!あまりの違いに、桁間違ってるんじゃないかって何度も確認しちゃったわよ。


さてここから、もう民間からの資本は募れない。とすると、残るはイタリア政府の登場、ということになるけど、現EU法とECB条約の下では、今年から銀行の再生・破綻処理の際には「ベイルイン」制度をとることになってるから、イタリア政府が公的資金で救済しちゃいけないんじゃ??って話になるわけ。

(※ちなみに「ベイルイン」っていうのは、金融機関の破たん処理にあたって、金融機関の内部(株主とか、預金、債権者など)がまず損失負担をさせられるというもので、規制当局が通常の破たん処理に入る前にまず債務の元本を減額したり株式に転換したりすること。これと対の概念で、「ベイルアウト」っていうのもあるけど、これは公的資金による救済とかいわゆる政府等の第三者による救済方法をいう。EU加盟国では、全ての欧州の銀行に「ベイルイン」制度を2016/1/1より導入している。)

 

レンツィさんは、今年7/3にはEU規則を無視してでも政府は必要な救済資金を提供するぞー的なことを言ってたけど、それってEUに反抗するってことになるよね。。。まあいまやレンツィさんも辞任したからイタリア政府がどうするか不明だけど。

ここからは、果たしてイタリア政府がEU規則をシカトして政府救済に走るかどうか、ってところを見てたいわ。

あ、ところでレンツィ首相の後任として、マッタレッラ大統領は12/11にパオロ・ジェンティローニ外相(62)を指名して組閣を要請した、とのニュースが出てたわ。あれ、なんか下馬評と違うけど・・・ジェンティローニさんは外交では経験豊富みたいだけど、銀行の建て直し力は・・・どうなんだろうね。「五つ星運動」はレンツィさんがジェンティローニさんの支援者であることを理由にして、「ジェンティローニはレンツィの「化身」だ」とかまた騒いでるみたいだけど。なんにしろ大変そう。。。どうでもいいけど、イタリアとか国がヤバイってときに一致団結して国を立て直すってことができないのかね。ま、日本も同じか。