イタリア政府、救済資金を150億から200億ユーロに引き上げ
「イタリア政府は、モンテパスキの救済措置をはじめとするイタリア銀行セクター救済のため、200億ユーロの債務増加を議会に求めることを今週月曜日に決定。」
・・・ということで、いよいよモンテパスキがヤバいから政府は資金注入の準備をしてるのね。しかも、最初は150億ユーロの予定だったけど、念のため注入できる資金を増やしとけって感じで、やっぱ200億ユーロにしようって準備してるみたい。
イタリア銀行セクターへの資金援助をするにあたって、債務増加(= 国債券発行を通じて援助資金を工面)をするようだけど、すでにイタリアの公的債務は2兆2300億ユーロといわれていて、これはGDP比でギリシャの次に大きいらしい。。
モンテパスキは今週木曜日に、民間による50億ユーロの資本増強計画の募集を締め切る予定。だから、これで全然ダメだー資本増強できないーって分かったら、早くても今週中に政府による公的資金の注入が行われる可能性があるって言われてるみたい。(個人的には、EU当局に”資金注入していいですか?”ってお伺いを立ててからじゃなくていいの?って思うけど。)
忘れちゃいけないのは、EU加盟国には2016年1月からBRRDに基づく”ベイルイン”規則が適用されているから、金融機関に対する公的資本注入を行うにはまず、その金融機関の債務者が損失を負担することが求められてるってこと。
(BRRD = Bank Recovery and Resolution Directiveで、金融機関の再生と破綻処理に関するルール)
このベイルイン規則に従うと、公的資金を注入するにはまずモンテパスキの劣後債を全て株式に転換してからではないとダメ、とも言われているようで、まあ債務者の資産がゼロになるわけではないけど、株価も急落してるし資産の目減りは避けられないよね。
いずれにしろ、実はBRRDに基づくベイルイン規則が2016/1に導入されてから実は一度もベイルインが実行されたことはないらしく、今回のモンテパスキがはじめてだから、じゃあ実際にはどういう扱いにするのか、EU金融当局がどういう判断を下すのか、ってところはいまいちモヤっとしてるみたい。調べてもなんかちゃんとした記事が出てこないのよねー。
前にも書いたかもだけど、昔ね、2015/11にイタリアは小さい4つの銀行についてベイルインを適用したことがあったのよ。EUルールに従うってことでね。でも、4行合わせてもイタリア銀行セクターの約1%ぐらいの資産規模しかなかったのに、イタリア政府には大打撃だったの。ベイルインで損失を被った年金生活者の方々が自殺したりね。
モンテパスキも、同行の債券の約半分は個人投資家が保有してるから、ベイルインになったらヤバいと思うね。
余談だけど、ECBのQE資産購入は今日で年内は一旦終わり。でも、イタリア国債の入札は12/29にもまだあるらしい。
なぜこのタイミングで・・・そしてなぜ年末ギリギリまで・・・って誰もが思うよね。
モンテパスキが吹っ飛んだら、誰がこのタイミングでイタリア国債を買いたいって思うのよ!(あ、投資はご自身の判断で!w)
え?もうパスキネタあきた?うん、わたしもよ。
モンテパスキが最期のあがき – 増資計画受け付け
やばいわ、たぶんご臨終間近だと思うの、モンテパスキ・・・
昨日ね、モンテパスキが「50億ユーロの増資計画で19日から投資家の申し込みを受け付ける」って発表したの。
え、また?!そしてこのタイミングで?!って感じ。
もう、なりふり構ってられないわよね。
発表によると、「申込期間は機関投資家向けが22日まで、個人投資家は21日まで。条件は公表していない。」で、増資計画は35%が個人投資家、65%が機関投資家向け。
ECBによると、モンテパスキは「4日の国民投票後、流動性状況の悪化が進行している」らしく、「新たな介入がなければ12/29で流動性は底をつく」との試算を出しているの!!
よく考えて!あと10日で流動性が枯渇するのよ~
イタリアの銀行は全体で約3600億ユーロの不良債権を抱えてるって言われてるけど、このモンテパスキの資本増強計画が失敗したら他のイタリア銀行についても信用不安が飛び火して、預金引き出し騒ぎだの、格下げ懸念だの、色々と出てくると思うの。
イタリア政府が銀行支援で最大150億ユーロを用意、との報道もあるけど果たしてどうなるのかしら。ベイルインってことになって、また個人に損失がふりかかって自殺者が出るっていう最悪のシナリオにならなきゃいいけど・・・
とにかくイタリアは今はネガティブよ。
モンテパスキが無事に12/29を乗り切れるのか・・・注目ね。
とうとうアメリカVS中国の戦いがはじまる?「中国がアメリカのドローンを拿捕」
アメリカ株、下がっちゃったね。。大きい要因は、中国VSアメリカの地政学的リスクが再認識されたことかな。
ロイターとかウォールストリートジャーナルなんかが報道してるところによると、南シナ海の国際水域で、中国海軍艇が米国の海洋調査用ドローン(無人海底調査機)1基を捕獲したそう。
このドローンは、水温や透明度などの海洋データを収集したり海底の状況を調べる取り組みの一環で運用していたみたいなんだけど、実はこういったドローンが収集する情報が「米軍のソナーデータの解析に役立つとみられている」らしいのね。どういうことかっていうと、こういったドローンは長時間水中とか海底での物体を探知できるもので、米軍が中国とかの潜水艦を探知・追跡することができるものなの。
で、アメリカは返せーって迫ったんだけど、中国は嫌だ返さないって言ってるらしい。
これは、トランプ次期政権に対する報復行為じゃないかって噂もあるから怖いのよ。
最近ではトランプ様が、今までアメリカ政権が直接の国交を避けていた台湾の総統と電話会議をしちゃったり、「一つの中国(One-China )」原則は必ずしも守る必要はない的な発言をしちゃったり("I don’t know why we have to be bound by a One-China policy unless we make a deal with China having to do with other things,”とFOX Newsでトランプ様発言・・・)で、中国との関係悪化が危険視されていたけれど、まあ今回はそれに対する中国側の牽制球ってところ?
んで、肝心のトランプ様はどうしたかって?
もちろんTwitterで反撃よwww
中国がドローンを盗みやがった、と早速ツイート
そして、そんなドローンいらねーから中国が持ってていいって伝えてやれ、と発言。
ほんと面白いよね、このおじ様。
でも、大統領になるんだから国民の心配を煽るようなことはぜひ謹んでもらいたいわ!!
3, 3, 3拍子のFOMC利上げ予想 – FOMCがようやく動いた!
旅行に出てて遅れちゃったけど、ちゃんとFOMCは出先でフォローしてたわよー!
トランプ様の濃い肉食系人事の前ではイエレンさんがまるでトムソンガゼルのようだわ・・・
さて、FOMCでは0.25%の利上げ決定ってのはもはや市場も100%織込み済み。
織り込んでたからやっぱりねーって感じで金利上昇・ドル高もカバーが入って少し戻ると思ったのよ。
そしたらトムソンガゼルったら投入したきたわ・・・草食動物なめんなよって感じ?
何が起こったかって?
サプライズポイントとしては、2017年末のフェデラルファンド金利(FF金利)の予想中央値が1.4%に引き上げられていたことよね。
前回2016年9月時点では、2017年末のFF金利予想は1.1%だったのよ。
なんなら2015年9月時点のFOMCから、2017年末、2018年末のFF金利予想はずっと右肩下がりになってきたのに、ここに来て2017年末予想が0.3%も上がっちゃったらやっぱマーケットはサプラーイズ!よね。
(ちなみに2018年末のFF金利予想は、9月FOMC時点の1.9%から今回FOMCで2.1%に引き上げられてるわ。)
ついでに、向こう3年間で25bpの利上げが各年3回ずつ行われることが示唆されている点もサプライズよ。
今年9月時点では来年の利上げが2回と予想されていたため、今回の予想で利上げペースは引き上げられたことになるわね。
2017, 2018, 2019年で利上げは毎年3回、3回、3回。
ま、去年だって今年だって、利上げ予想に関わらず年末に1回の利上げしかしなかったから、もはや「やるやる」詐欺感はあってどこまで信用していいか分からないけどね。
悲報 - モンテパスキの救済計画延長要請にECBがNO
悲報 - 「イタリア大手銀行、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテパスキ)が、12/7に50億ユーロの増資計画を完了するために、完了期限を年末から来年1月20日に延期すること(時間的猶予)をECBに求めたが、12/9にECBが時間延長を却下したと報道された。」
モンテパスキはイタリア最古&イタリア第三位の銀行で、瀕死状態の銀行の一つ。
そもそもの発端はこういうこと↓
- 2016/7/29に、「モンテパスキが最大50億ユーロの増資を含む再建案を発表」。
7/29同日に欧州銀行監督局が、EU加盟国の大手51の銀行を対象にしたストレス・テストの結果を発表するんだけど、モンテパスキは明らかに不合格のレッテルを貼られてしまうのが分かってたから、その前に駆け込みダッシュで再建案を発表したのね。再建案の内容だけど、まず92億ユーロの不良債権を証券化して、イタリアの銀行や保険会社が参加した民間投資ファンドが一部を引き受け、残りは既存株主などに売る。そのあとで、再建策のアドバイザーになってた米JPモルガン・チェースと伊メディオバンカなどを引受先に最大50億ユーロの増資を実施する、ってことだったみたい。
で、今回はイタリア政府がECBに対して「すみません、この救済計画にはもう少し時間が必要なので、締め切りを延長してください」ってお願いしたけど、ECBから「これ以上延長しても大して意味ないっしょ、悪あがきはやめなはれ」的な感じで却下されたってわけね。イタリア政府としては、12/4の国民投票で否決→レンツィ首相が辞任で大混乱だし、もう踏んだり蹴ったりよ。
あと、カタールが10億ユーロくらい投資してくれるって話もあったけど、結局この混乱を見て嫌になっちゃったみたいで、その計画もほぼ頓挫したみたい。
そもそも、イタリアの銀行は約3600億ユーロの不良債権を抱えるって言われてるけど、これはEUの銀行が抱えている全不良債権の45%、イタリアGDPの25%に相当するのね。ヤバイよね、イタリア。その中でも、モンテパスキは筋金入りの瀕死銀行として注目されていて、今までにすでに二回も公的資金による救済を受けているのに、それでもやっぱり回復困難な状況。モンテパスキの不良債権は2009年の約150億ユーロから、今では約552億ユーロにまで膨れ上がっていて、不良債権比率は41%とイタリアの銀行のなかでは一番高いの。
株価もずーーーっと下がっていて、2007年5月に8804.08のピークをつけてから、いまや19.50よ。なんと99.8%の下落率!!あまりの違いに、桁間違ってるんじゃないかって何度も確認しちゃったわよ。
さてここから、もう民間からの資本は募れない。とすると、残るはイタリア政府の登場、ということになるけど、現EU法とECB条約の下では、今年から銀行の再生・破綻処理の際には「ベイルイン」制度をとることになってるから、イタリア政府が公的資金で救済しちゃいけないんじゃ??って話になるわけ。
(※ちなみに「ベイルイン」っていうのは、金融機関の破たん処理にあたって、金融機関の内部(株主とか、預金、債権者など)がまず損失負担をさせられるというもので、規制当局が通常の破たん処理に入る前にまず債務の元本を減額したり株式に転換したりすること。これと対の概念で、「ベイルアウト」っていうのもあるけど、これは公的資金による救済とかいわゆる政府等の第三者による救済方法をいう。EU加盟国では、全ての欧州の銀行に「ベイルイン」制度を2016/1/1より導入している。)
レンツィさんは、今年7/3にはEU規則を無視してでも政府は必要な救済資金を提供するぞー的なことを言ってたけど、それってEUに反抗するってことになるよね。。。まあいまやレンツィさんも辞任したからイタリア政府がどうするか不明だけど。
ここからは、果たしてイタリア政府がEU規則をシカトして政府救済に走るかどうか、ってところを見てたいわ。
あ、ところでレンツィ首相の後任として、マッタレッラ大統領は12/11にパオロ・ジェンティローニ外相(62)を指名して組閣を要請した、とのニュースが出てたわ。あれ、なんか下馬評と違うけど・・・ジェンティローニさんは外交では経験豊富みたいだけど、銀行の建て直し力は・・・どうなんだろうね。「五つ星運動」はレンツィさんがジェンティローニさんの支援者であることを理由にして、「ジェンティローニはレンツィの「化身」だ」とかまた騒いでるみたいだけど。なんにしろ大変そう。。。どうでもいいけど、イタリアとか国がヤバイってときに一致団結して国を立て直すってことができないのかね。ま、日本も同じか。
ECBが量的緩和を延長、月額は600億ユーロへ。
もーにん♪とーってもいいお天気なので今日は鎌倉まで遠征しようと思ってるわ。寒いけど海とか見ちゃったり。紅葉は・・・ギリまだ残ってるかしら。。
さて、注目されてたECBが昨日あったんだけどね、まあなんていうか、ちょろちょろ噂されてたのがまあ当たってたかなって感じよ。注目されてたポイントは、量的緩和(QE)が延長されるか、QEの月額購入量、資産購入プログラムの規制変更、ってとこかしら。
決定事項はこんな感じ↓
1) 主要政策金利を0.00%に、中銀預金金利を-0.40%にそれぞれ据え置き。
2) 現在月額800億ユーロとしている債券買い入れの規模を来年4月から月額600億ユーロに縮小し、買い入れ期間は2017年末までひとまず延長(9ヶ月の延長ね)。もしくは必要に応じてそれ以降も継続する予定。
3) 来年1月以降、資産買い入れプログラム(APP)のもと、預金金利を下回る水準での買い入れも認める。
4) 来年1月以降、買い入れ対象の残存償還期間の下限を現行の2年から1年に引き下げる。
1)についてはもう予想通りだからスルー。
2)についてはちょっとサプライズ。前から月€60bnを9ヶ月にするっていう噂はあったけど、やっぱりマーケットは一気に反応してたみたい。冷静に考えると、トータルの額は€80bnを6ヶ月(€480bn)よりも、€60bnを9ヶ月(€540bn)の方が多いんだけど、目先で月額量が減ると「テーパリング」って言葉が頭をよぎるみたいね。ま、でもとにかく2017年度中はQEがずっと続いてテーパリングの心配もひとまずしなくていいし、もう少しマーケットは冷静になってもいいのかも。
3)と4)については、ひとまずこれで「QEやりたいけど買いたいものが足りない・・・」みたいな状況は避けれるようになるみたい。特にドイツ国債とかは、QEが終わる前にECBがお買い上げすぎて在庫なし的な状況になるところだったみたい。だから購入に関する規制をちょっと緩めて、今まで買えなかった部分についても買い入れの対象にしちゃおうって訳。いやーしかしあれだね、FRBもそうだけど中銀様はマーケットのVIP顧客だね、どれだけリスク抱えてるのかしらって話よ。
ということで、まあ月額購入量の減額に驚いたマーケットが「やっべぇテーパリングきたーー」ってな感じで、とりあえず欧州債とユーロ売っとけ的な状況になってたみたい。
あ、ちなみに「テーパリング」ってのは、ドラギさんも記者会見の中で解釈を改めて言ってたけど"買い入れが段階的にゼロに向かう政策を指すもの"ってことらしい。いまはQEでECBがばんばん債券買ってるから全体的に欧州の金利が安定して低く抑えられてるけど、テーパリングが起こるとECBが債券を買ってくれなくなってくるから今までVIPが買い上げてた分が売れない = 債券の価格下落、金利上昇、みたいになるってマーケットに恐れられてるみたいよ。
さ、あとはFOMCをこなして今年は終了!クリスマスとお正月がいまから楽しみだわ。
Have a great day!
今さら聞けない!イタリア国民投票について
イタリアの国民投票が12/4(現地)に終わって、結果は予想通り否決。レンツィさんの惨敗。イタリアは(欧州では唯一)上院と下院がほぼ同等の権力をもつから、もうねじれにねじれて法案が全然通らない!改革しようにも進捗が遅い!ということで、今回の国民投票では上院の権限を弱めて議決権をほぼ下院に集中させようというものだったのね。「決められない」政治をストップしようという、アイディア自体は結構良かったと思う。でも惨敗だったのは、レンツィさんがこれに自分の進退をかけちゃったからなんじゃないかしら。だから国民投票がレンツィさんの信任投票みたいな感じにすり替わっちゃって、本来の目的が達成できなかったわけ。
じゃ、ここからどうなるのかって話だけど、レンツィさんが辞めた後の暫定政権がひとまず組織されそうな感じ。早期解散選挙ってことになってもさすがに来年早々はないんじゃないかしら。だって、まずはいわゆるイタリクム(Italicum/2015年新選挙法)を改正することが既存政党にとっては何より大事だから。
ちなみにイタリクムとは、簡単に言うと第一政党が下院議席の54%をとれるっていう選挙制度のこと。イタリアではどの政党でも一党で過半数をとれない状況だから、これも法案通過などが難しくなる原因だったみたい。この状況を打破して民主党に有利になるためにイタリクムをつくったのだけど、実はこれが誤算だった。つくった当時はここまでポピュリズムの波がくるとは思ってなかったから、この選挙制度によって民主党が議席の過半数をとれてハッピー!という見込みだったんだけど、今となっては"五つ星運動"(ポピュリズム政党)が大躍進してきたことで、なんなら五つ星運動がこの制度のおかげで過半数をとっちゃうんじゃないかっていう事態になってしまったという悲しい誤算。
さて、次の首相だけど、いまの経済・財務相のパドアンさんが有力みたいで、これはいいチョイス。パドアンさんはモンテパスキ銀行の資本増強計画についてアドバイザーやEUと話し合いを続けている関係者で状況が良く分かっている。モンテパスキ銀行がつぶれるかどうかって時に、やっぱり状況が分かってる人が首相についてくれる方がスムーズよね。
モンテパスキ銀行も、当初の50億ユーロの資本増強計画が頓挫しそうで、イタリア政府が公的資金の投入を検討しているみたい。最終的に昔のどっかの銀行みたいに買い叩かれて終了、ということにならないのかしらこれ。。でも買いたい人っているの?って疑問もあるのよね~。ドイツ銀行なら買いたい人いっぱいいそうだけど。